非器質性精神障害(PTSD・うつ等)の後遺障害等級

非器質性精神障害についての自賠責の認定基準は以下の通りとなっています。

等級 障害内容
9級10号 非器質性精神障害のため,日常生活において著しい支障が生じる場合
12級13号 非器質性精神障害のため,日常生活において頻繁に支障が生じる場合
14級9号 おおむね日常生活は可能であるが,非器質性精神障害のため,日常生活において時々支障が生じる場合

どの等級に該当するかについては、労災の認定基準が参考になりますので、以下に記載しておきます。

労災では、非器質性精神障害の後遺障害が残存しているというためには、以下の(1)精神症状のうち一つ以上の精神症状を残し、かつ、(2)能力に関する判断項目のうち一つ以上の能力について障害が認められることを必要とします。

(1)精神症状

① 抑うつ状態
持続するうつ気分(悲しい、寂しい、憂うつである、希望がない、絶望的である等)、何をするのもおっくうになる(おっくう感)、それまで楽しかったことに対して楽しいという感情がなくなる、気が進まないなどの状態です。

② 不安の状態
全般的不安や恐怖、心気症、脅迫など強い不安が続き、強い苦悩を示す状態です。

③ 意欲低下の状態
すべてのことに対して関心が湧かず、自発性に乏しくなる、自ら積極的に行動せず、行動を起こしても長続きしない。口数も少なくなり、日常生活上の身の回りのことにも無精となる状態です。

④ 慢性化した幻覚・妄想性の状態
自分に対する噂や悪口あるいは命令が聞こえる等実際には存在しないものを知覚体験すること(幻覚)、自分が他者から害を加えられている、食べ物や薬に毒が入っている、自分は特別な能力を持っている等内容が間違っており、確信が異常に強く、訂正不可能でありその人個人だけ限定された意味付け(妄想)などの幻覚、妄想を持続的に示す状態です。

⑤ 記憶又は知的能力の障害
非器質性の記憶障害としては、解離性(心因性)健忘がある。自分が誰であり、どんな生活史を持っているかをすっかり忘れてしまう全生活史健忘や生活史の中の一定の時期の出来事のことを思い出せない状態です。 非器質性の知的能力の障害としては、解離性(心因性)障害の場合がある。日常身辺生活は普通にしているのに改めて質問すると、自分の名前を答えられない、年齢は3つ、1+1=3のように的外れの回答をするような状態(ガンザー症候群、仮性認知症)です。

⑥ その他の障害(衝動性の障害、不定愁訴など)
その他の障害には、上記の①から⑤に分類できない症状、多動(落ち着きの無さ)、衝動行動、徘徊、身体的な自覚症状や不定愁訴などがある。

(2)能力に関する判断項目

① 身辺日常生活
入浴をすることや更衣をすることなど清潔保持を適切にすることができるか、規則的に十分な食事をすることができるかについて判定するものです。 なお、食事・入浴・更衣以外の動作については、特筆すべき事項がある場合には加味して判定を行う。

② 仕事・生活に積極性・関心を持つこと
仕事の内容、職場での生活や働くことそのもの、世の中の出来事、テレビ、娯楽等の日常生活等に対する意欲や関心があるか否かについて判定するものです。

③ 通勤・勤務時間の遵守
規則的な通勤や出勤時間等約束時間の遵守が可能かどうかについて判定するものです。

④ 普通に作業を持続すること
就業規則に則った就労が可能かどうか、普通の集中力・持続力をもって業務を遂行できるかどうかについて判定するものです。

⑤ 他人との意思伝達
職場において上司・同僚等に対して発言を自主的にできるか等他人とのコミュニケーションが適切にできるかを判定するものです。

⑥ 対人関係・協調性
職場において上司・同僚と円滑な共同作業、社会的行動ができるかどうか等について判定するものです。

⑦ 身辺の安全保持、危機の回避
職場における危険等から適切に身を守れるかどうかを判定するものです。

⑧ 困難・失敗への対応
職場において新たな業務上のストレスを受けたとき、ひどく緊張したり、混乱することなく対処できるか等どの程度適切に対応できるかということを判定するものです。

まず、就労意欲について、以下の通りに分類して考えます。

2 就労意欲の低下等による区分

(1)就労している者又は就労の意欲のある者
現に就労している者又は就労の意欲はあるものの就労はしていない者については、1の(1)精神症状のいずれか一つ以上が認められる場合に、1の(2)能力に関する八つの判断項目(以下「判断項目」という。)の各々について、その有無及び助言・援助の程度(「時に」又は「しばしば」必要)により障害等級を認定することとなります。

(2)就労意欲の低下又は欠落により就労していない者
就労意欲の低下又は欠落により就労していない者については、身辺日常生活が可能である場合に、1の(2)の①身辺日常生活の支障の程度により認定することとなります。 なお、就労意欲の低下又は欠落により就労していない者とは、職種に関係なく就労意欲の低下又は欠落が認められる者をいい、特定の職種について就労の意欲のある者については、(1)就労している者又は就労の意欲のある者に該当することとされます。

3 障害の程度に応じた認定

非器質性精神障害は、次の3段階に区分して認定することとされています。

(1)「通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、就労可能な職種が相当な程度に制限されるもの」は、第9級の7の2に該当する。

以下のア又はイが該当する。

ア 2の(1)に該当する場合には、判断項目のうち②~⑧のいずれか一つの能力が失われているもの 又は 判断項目の四つ以上についてしばしば助言・援助が必要と判断される障害を残しているもの

イ 2の(2)に該当する場合には、身辺日常生活について時に助言・援助を必要とする程度の障害が残存しているもの

(2)「通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、多少の障害を残すもの」は、第12 級の12 に該当する。

以下のア又はイが該当する。

ア 2の(1)に該当する場合には、判断項目の四つ以上について時に助言・援助が必要と判断される障害を残しているもの

イ 2の(2)に該当する場合には、身辺日常生活を適切又は概ねできるもの

(3)「通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、軽微な障害を残すもの」は、第14 級の9に該当する。

判断項目の一つ以上について時に助言・援助が必要と判断される障害を残しているものが該当する。

4 重い症状を残している者の治ゆの判断等

重い症状を有している者(判断項目のうち①の能力が失われている者 又は 判断項目のうち②~⑧のいずれか2以上の能力が失われている者)については、非器質性精神障害の特質上症状の改善が見込まれることから、症状に大きな改善が認められない状態に一時的に達した場合であっても、原則として療養を継続することとなる。

ただし、療養を継続して十分な治療を行ってもなお症状に改善の見込みがないと判断され、症状が固定しているときには、治ゆの状態にあるものとし、障害等級を認定することとなる

なお、その場合の障害等級の認定は本認定基準によらず、個別に検討し、障害の程度を踏まえて認定することとなる。

等級 障害内容
9級10号 通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、就労可能な職種が相当な程度に制限されるもの
12級13号 通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、多少の障害を残すもの
14級9号 通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、軽微な障害を残すもの

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