後遺障害等級9級 外貌醜状 取得額が約2.5倍に増額した事例

この依頼者の方の場合には、ご自身で自賠責保険の被害者請求を行い、外貌醜状で後遺障害等級9級の認定をされ、後遺障害部分の9級の限度額である616万円の損害賠償金を受け取っていました。

しかしその後、保険の内容が正確に理解できていないため、どのように対応したらよいか分からないということでご相談・ご依頼を頂きました。

このご依頼者の方のケースの特徴として、複数車両がかかわっている事故であるという特徴がありました。事故としては高速道路に停車中の前車にタクシーである後車が追突し、タクシーに乗車中の乗客であるご依頼者が怪我をしたという事故でした。

また、この依頼者の方は、認定されている後遺障害の内容が、逸失利益の点で争いになりやすい醜状障害であるという特徴がありました。

そのため、当事務所としては、まず、後車の自賠責保険だけでなく、停車中であった前車の自賠責保険にさらに後遺障害部分の保険金を請求することを検討しました。

なぜなら、自賠責保険の場合には、逸失利益を形式的に基礎収入×労働能力喪失率×ライプニッツ係数の算定式で計算した上で、限度額を限度に支払いを行うため、事案によっては裁判で逸失利益の判決を得る場合(裁判の場合、醜状の程度や仕事への影響を考慮して逸失利益を否定したり、労働能力喪失率や労働能力喪失期間を著しく制限することがよくあります。)よりも高額の支払いを受けられる場合があるからです。

しかも自賠責保険の場合には、複数の加害車両に過失が認められる場合、複数の自賠責を利用できることとなり、結果として限度額が加害車両台分になります。

そのため、訴訟で逸失利益が否定されたり、著しく低額になるケースの場合には、複数の自賠責保険に被害者請求を行うことにより、損害の大部分が補償されたり、場合によっては裁判の判決の場合よりも被害者が受け取る総額が大きくなることもあるからです。

そして、前車の過失を調査するために、当事務所が調査した結果、事故当時前車付近にいた前車の同乗者に関し、前車の自賠責保険に対する被害者請求が認められていることが判明しました。

厳密には前車の同乗者と前車の過失が直接、当事務所の依頼者の方との関係でもあてはまるわけではありませんが、しかし、前車が高速道路に停車していること自体が過失と評価され、被害者請求が認められていると考えられました。

そこで、弁護士において、前車の他の被害者において被害者請求が認められている資料や後車の自賠責保険で既に後遺障害等級9級が認定されている資料とともに通知書を作成し、前車の自賠責にも被害者請求を行いました。

また、弁護士による調査の結果、前車の自賠責保険につき後遺障害に基づく損害だけでなく、傷害部分についての請求も行いました。

結果として、前車の自賠責保険からも後遺障害部分として9級の限度額の616万円及び傷害部分として79万円程度の支払いがなされました。これにより、治療費とは別に、後車の自賠責保険より後遺障害部分として616万円、前車の自賠責保険より後遺障害部分として9級の限度額の616万円及び傷害部分として79万円程度の支払いがなされました。

この時点で、保険金の受取総額としては1500万円程度とかなりの総額の支払いを受けられる状況となりました。

しかし、当事務所としては、9級の形式的な計算式による逸失利益の計算を考えて、加害者の保険会社(タクシー共済)からも示談金の支払いの可能性がないかを検討しました。

上記のとおり、逸失利益については裁判においてその逸失利益が争いになりやすく、後遺障害の程度や職業への影響により、逸失利益を否定したり著しく制限する裁判例も存在します。

そのため、裁判により、裁判官の心証が開示された状況での和解をする方が良いのか、それとも事前に示談により解決する方向がよいのかを検討しました。

上記の通り、二つの自賠責から相当程度の支払いを受け損益相殺の額が高額となっているため、裁判では相当程度の労働能力喪失率や喪失期間が認定されないと新たに支払いを受けることは困難であることが考えられました。

様々な労働能力喪失率や喪失期間を組み合わせてどのような場合に追加で支払いを受けられるかを依頼者の方と検証しました。

結局、残っている醜状の状況や男性という性別、仕事への実際上の影響、収入の減少があるか否か等の事情を考慮した上で、依頼者の方と打合せを行い、示談で解決を目指すこととしました。

初め相手方より30万閲程度の示談金を提案してきましたが、弁護士による交渉で、結果的に200万円を追加で支払うことで解決することになりました。

ご依頼者の方も早期に裁判をせずに、希望していた以上の金額を獲得できたために満足して頂けました。

この方のケースは、複数の自賠責が関係し、また醜状障害の逸失利益という被害者・加害者側で金額的な調整が難しい事案ではありましたが、労働能力喪失期間・喪失率のさまざまな検討のもと、ご依頼者が喜んでいただける結果となった事案でした。

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