損害保険料率算出機構による後遺障害等級・損害調査の流れ
手続の概要
自賠責保険(共済)におけるおおまかな損害調査の流れは以下の通りです。
1 自賠責保険(共済)への請求書類を提出
2 自賠責である損害保険会社等は、請求書類に不備がないか確認のうえ、自賠責損害調査事務所へ書類を送付する。
3 損害調査事務所が、請求書類に基づいて、事故発生の状況、支払の的確性(自賠責の対象となる事故かどうか、また、傷害と事故との因果関係、後遺障害の有無・程度など)および発生した損害の額などの調査を行う。
なお、送付された書類の内容だけでは事故に関する事実確認ができないものについては、事故当事者や病院への照会、事故現場調査など必要な調査を行います。
4 損害調査事務所が、損害保険会社等に調査結果を報告します。
5 自賠責保険の損害保険会社等は、支払額を決定し、請求者に支払います。
損害調査事務所について
自賠責保険(共済)の請求があると、自賠責損害調査事務所に書類が送られ、損害調査事務所で調査を行います。
損害調査の過程において、
自賠責保険(共済)から支払われないか、もしくは減額される可能性がある事案、
後遺障害の等級認定が難しい事案など、
損害調査事務所では判断が困難な事案については、損害調査事務所の上部機関である地区本部・本部で審査が行われます。
また以下のような高度な専門的知識が要求され判断が困難な事案および異議申立事案については「特定事案」とされ、日本弁護士連合会が推薦する弁護士、専門医、交通法学者、学識経験者等、外部の専門家が審議に参加する自賠責保険(共済)審査会で審査が行われます。
1.有無責等の専門部会で審査される特定事案
(1) 死亡事故および被害者の傷害の程度等により被害者から事故状況についての説明を受けることができない傷害事故のうち、次の1)~5)に該当するケース
- 1) 自賠法第3条但書の3つの要件が立証できるとして、自賠責保険(共済)が支払われない可能性があるケース、あるいは被害者に重大な過失があって減額される可能性があるケース
- 2) 被害者が自動車の運行によって死傷したものではないとして自賠責保険(共済)の対象外となり支払われない可能性があるケース
- 3) 被害者が「他人」ではないとして自賠責保険(共済)の対象外となり、支払われない可能性があるケース
- 4) 被害者を死傷させた自動車が盗まれたり、強奪されたりしたものであるため、その自動車の自賠責保険(共済)から支払われない可能性があるケース
- 5) 時効により自賠責保険(共済)が支払われない可能性があるケース
(2) 被保険者または加害者の悪意による事故のため、自賠責保険(共済)が免責となる可能性があるケース
(3) 死亡事故で、受傷と死亡との間の因果関係がないとして自賠責保険(共済)が支払われないか減額される可能性があるケース
(4) 傷害事故(被害者から事故状況についての説明を受けることができない事故を除く)で上記(1)1)~5)に該当する事故について異議申立があったケース
※異議申立事案とは、調査結果や支払われた保険金(共済金)または損害賠償額に不服があるために再度請求が行われた事案をいいます。なお、異議申立事案のうちで、新たな資料の提出等により自賠責保険から追加支払いができる事案や、支払基準に定める各損害項目の認定金額に対する異議申立事案等は審査会の対象になりません。
これらについては、自賠責保険(共済)審査会のうちの有無責等の専門部会が審査を行います。
2.後遺障害の専門部会で審査される特定事案
(1) 脳外傷による高次脳機能障害に該当する可能性があるケース
(2) 非器質性精神障害に該当する可能性があるケース
(3) 後遺障害の等級認定に対して異議申立てがあったケース
これらについては、自賠責保険(共済)審査会のうちの以下の後遺障害の専門部会が審査を行います。
・自動車工学専門部会:人間工学、機械工学の専門家で構成。事故状況を工学的見地から分析する。
・高次脳機能障害専門部会:脳神経外科医、弁護士等で構成。高次脳機能障害に該当する可能性のあるものについて審査を行う。
・非器質性精神障害専門部会:精神科専門医等で構成。非器質性精神障害に該当する可能性のあるものについて審査を行う。