どのように示談金額を増額させるの?

「弁護士に依頼すると示談金額が本当に増額するのだろうか」

交通事故の被害者の方としては、適切に経済的補償を受けたいと考えるのは当然ですし、弁護士に頼んで費用倒れになって損はしたくないと考える方もいらっしゃると思います。

では、どのように当事務所の弁護士が関わることにより、示談金額が増額する場合があるかをご説明いたします。

裁判上認められる金額で損害額を試算する

裁判で認められる金額と任意保険会社の提示する金額は同じではないこと

ご相談いただく方で多く頂く質問として、「自賠責保険で受け取ることができる金額や任意保険会社が提示してきている金額が納得いかないけれども、保険会社がそういうのなら仕方ないものなのですか?」というものです。

答えは、そうではありません。少なくとも提示された金額が法律上認められる金額として適切かどうかを検討する必要があります。

しかし、そもそも加害者側の任意保険会社は、加害者が被害者に対して負うべき損害を加害者に代わって支払いを行ってくれる民間の企業にすぎず、できれば少ない金額で示談をしたいと考えるのは、良い悪いはともかくとして企業としては当然の対応ではあります。

また、自賠責保険は、交通事故で被害に遭われた方に法律で定めた最低限の補償をうけられるようにするためのもので、法律上加害者に請求できる金額とは異なるのです。

交通事故の被害に遭われると、加害者・任意保険会社等いろいろな立場の方が存在し、制度も複雑で分かりにくいのですが、まずは、以上のような仕組みを理解した上で、結局法律上裁判をしたらいくら認められるかという金額を把握することが大切です。

裁判での算定基準で計算して、増額できる項目がないかを検討する

以下の例は実際のご依頼者のケースです。後遺障害等級14級のケースでも示談金額が100万円程度増額して示談できていますが、これは決して珍しい例ではありません。

後遺障害の等級がより上位になればなるほど増額できる金額がより大きくなることが通常なのです。

示談金額を増額できる理由

では、裁判で認められる金額を把握するにはどうしたらいいでしょうか。

交通事故による裁判は、事件数が多いため、裁判官によりバラつきをおさえるためや早期に見通しをたてて解決ができるように、東京の裁判所では、「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」(いわゆる「赤い本」)に従って算定されます。

どのような損害の項目を請求できるか、その金額はいくらになるかについて、その本を参考にすると一応試算することはできます。

任意保険会社の示談金額は、保険会社の独自の基準で算定しているものであるため、通常入通院の慰謝料をとっても、その金額が裁判で認められる金額が低額になることが通常です。

ですので、まず裁判で認められる金額の一般的な算定基準で試算するだけでも示談金額を増額できる損害項目が分かることになります。

入通院の慰謝料であれば、別表の1又は2いずれを用いて算定すべき事案なのか、通院期間をいくらとみて慰謝料を算定するべきなのか、これらの点を個別の案件ごとに裁判になった場合の見通しを踏まえて交渉することで増額できることがあります。

また、休業損害についても、基礎収入をいくらにみるか、休業日数をいくらととらえるかについても、裁判での見通しを考えながら、どのくらい増額できるかを検討します。

後遺障害による慰謝料の金額についても裁判基準の金額が提示されているかも検討します。

また後遺障害による逸失利益についても、基礎収入が適切なのか、労働能力喪失率や喪失期間が適切なのかを裁判での見込みを考えながら検討して、なるべく有利な計算で算定します。

また、将来の介護が問題になるケースでは、介護の必要性の有無やその一日当たりの金額をいくらと考えるかで全体として請求できる金額も大きく変わることになるので、裁判での判例をもとにどのくらいの増額が見込めるかも検討する必要があります。

このように個別の損害項目につき、裁判で認められる金額で検討することで増額しうる項目が分かることになります。

適切な後遺障害等級の獲得を目指す

後遺障害が残っているケースでは、そもそも現在認定されている後遺障害の等級がこれまでの治療経緯やその検査結果、資料からして妥当であるのかについて検討を行います。

認定されている後遺障害が適切でない場合には、異議手続きにより適切な後遺障害等級獲得を目指します。

後遺障害の等級が非該当から該当になるだけで、後遺障害慰謝料として、裁判では通常110万円が認められますし、等級が上位になればなるほど後遺障害慰謝料の金額が100万円単位で大きく異なってきます。

そして、後遺障害等級が認められた場合には、通常その等級に応じた労働能力が喪失したとして将来の収入の減少分(逸失利益)を請求できることとなり、その金額も等級により100万円・1000万円単位で増額できることも多いのです。

このように本来後遺障害として認定されるべき・上位等級とされるべき事案について、その等級が適切かどうかを検討することが交通事故事件では非常に重要です。

どの手続きで解決する方がより増額できるか・取得できるかを検討する

弁護士を頼むメリット

このように交渉か訴訟になっているかだけでなく、被害者の方が弁護士に依頼しているかどうかでも対応や提示額が異なることもあります。

任意保険会社としては、いまだ弁護士が介入していない段階では、すぐに裁判になるというわけでもなさそうなので、粘ったりして、交通事故に詳しくない被害者の方が裁判基準よりも低額で示談することを期待することもあるのではないかと思います。

このように任意保険会社の立場からすると、弁護士が介入することにより話し合いで解決しない場合には、時間と費用をかけて訴訟をすることになることは容易に想像でき、裁判等での解決せざるを得ない状況に一つ段階が進んだともいえます。

そのため、より裁判基準に近いところで交渉ができることも多くあります。

この点は弁護士を頼む一つのメリットといえるでしょう。

訴訟(裁判)をするメリット

任意保険会社としては、裁判上認められるであろう金額について、交渉段階では認めないこともよくあります。

交渉段階では、早期解決のために被害者がいくらか譲歩して支払う金額を安くしたいという意向もあるのかもしれませんし、またそもそも交渉段階では会社としてはここまでしか支払えない上限を定めているのかも分かりません。

このように保険会社のよしあしは置いておいて、現実として、特に後遺障害の等級が上位になればなるほど、任意保険会社からの提示額と裁判上認められるであろう金額との差額が大きすぎ、交渉でまとまらないことがよくあります。

このような場合には、早期に訴訟を提起した上で、その中での解決を目指します。

訴訟をすることで、保険会社としては何らかの解決をせざるを得なくなりますし、判決の見込みを考えた上で、適切なところで、和解した方が良いという利益衡量も働くのです。

また、例えば、14級の後遺障害が複数認められて併合14級となっているケースや後遺障害が残っているけれども自賠責で後遺障害とまでは認定されていない後遺症が残存しているケースなどでは、自賠責の後遺障害等級の一般的な基準による労働能力喪失率では現実の被害者の方の被害にそぐわないケースもあります。

その場合には、訴訟により裁判官に実態を説明・証明した上で、判決や訴訟の中での和解を目指す方が、より取得できる金額が増額することもあります。

訴訟(裁判)以外で解決するメリット

さらに、ケースによっては訴訟した方が良いかどうかを検討すべきケースもあります。

例えば、裁判所の判例上、逸失利益が認められなかったり、もしくは著しく低額な認定になりそうなケースでは、無理に訴訟による解決を目指すより、交渉段階で適切なところで示談をした方が獲得額が大きくなることもあります。

また、より実質的な判断がされる裁判所の方が、形式的に金額を算定する自賠責により損害賠償金を受領する方が、複数の自賠責に請求できる場合などには実際に被害者の方が取得できる金額が大きくなることもあります。

このように訴訟で解決するよりも、交渉やその他の手続きで解決を図る方が被害者の方に有利な場合もあるので、その点も検討する必要があります。

まとめ

以上のように交通事故事件の解決のためには、訴訟になった場合にいくらの損害賠償が認められるかを試算した上で、個別のケースに応じてどのような手続きや金額で解決を図るべきかを検討する必要があります。

ご相談者の方において、裁判所での算定基準を知っているから、弁護士には相談・依頼する必要はないとお考えの方もいらっしゃいますが、実際には、その算定方式を知っていることは前提にすぎず、個別の被害者の方に応じてより有利な解決を検討すべき必要があるのです。

当弁護士事務所では、交通事故の被害者の方からのご相談は電話相談も含め無料で行っておりますので、ぜひお気軽にご利用ください。

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